YOUは何しに大学連携を?@北海道自治体学会地域フォーラム
パネルディスカッションでは、コーディネーター役を務めさせていただきました
こんにちは、江別市議会議員の堀です。「北海道自治体学会地域フォーラム in 江別」のことをFBに書こうとしたら、また長文になってきたので、はたと気付きました。これ、ブログに書けばいんじゃね?と。なんせ、FBの長文って、読みにくいですからねー… とかこれは妙案とか思っているうちに、またもや1ヶ月以上が経ってしまったわけで…
というわけで、北海道自治体学会地域フォーラムについてです。基調講演には、長野大学の古田先生に、大学と地域が連携するための具体的な手法を学びました。パネルディスカッションの企画と進行を自分は担当したのですが、みんな同じような方向を見ているんだなということがわかり、これからの取組に期待を持ってる内容に!…ただただ、僕のカミカミの進行さえ、ペラペラだったらと悔いが残りますが、パネリストの方々の的確なコメントに助けられ、無事終了させていただきました。あーあ、イメージでは、もっとうまく進行できるはずだったんだけどなーーσ^_^;
: 地域と大学は連携し、何を成すのか
ブログのタイトルをテレ東みたいにしたことが、お叱りを受けないかという心配は置いてですね、今回のフォーラムをきっかけに改めて考えたのですが、地域にとって、大学連携は手段であり、大学にとっても、地域連携は手段であるということです。その手段をもって何をするのか、その目的設定こそが肝要であるわけです。
江別市には大学があるから、なんとなく大学連携ではなく。個の想いや根性に依存した、美談ではあるが過酷な大学連携ではなく。目的を明確にするところからはじめ、関係者の目的を擦りあわせ共通項を見つけた上で、その実施を支援する仕組みづくりを目指す必要があると思っていたところ、パネルディスカッションのなかで、COC(知/地の拠点づくり:センター・オブ・コミュニティ)、起業支援、ビジョンの共有、四大学合同のサテライト、四大学合同大学院など、仕組み化に関する具体的なキーワードが出てきて、とても良いインプットになりました。長野大学さんが公立化することもあって、そういた手法の話も興味深かったですね。近年、大学ではないですが、高校の市立化が事例として目立っているので、これから小中高大一貫の公立教育機関なんて事例も、もしかしたらどこかの地域で出てくるのかもしれません。
: 一方で、忘れてはいけないオルタナティブな視点も
1つ目は、どうしてもこういう場だと、ロジカルに「大学と行政が連携して、地域課題解決を仕組みに」みたいな話をしてしまいがちですが、市民が勝手にはじめて効果を上げている取り組みがあるとのことで、「えべつセカンドプロジェクト」というシティプロモートを行なう市民団体を紹介してくれたパネリストの方がいました。難しく考えるモードに入っていたので、偏ったバランスを修正してくれるありがたいコメントでした。
この視点にさらに一歩を踏み込みと、行政が公式に行なうことは、どうしても慎重、すなわち動きが遅いです。であれば、市民がはじめたスピーディに成果を上げている取組に行政が乗っかる(行政の直営事業ではなく、市民の取組に運営資源を拠出する)ことで、行政は地域課題を解決し、市民は趣味ではない継続的・安定的なプロジェクトにできるという手法が効果的な手段の一つだなあと気づきました。
2つ目は、大学、あるいは学術すべてに「すぐ社会/地域の役に立つこと」を求めることへの懸念です。この話題で交流会のとき、若い研究者の方と熱く語り合いました。対象(研究テーマ)をどう切り取る(どの学問の理論で位置づける)かというのは、学術の妙だと思いますが、明日明後日どう日々の生活に役立つかわからないものです。アートにも、同じ懸念を持っています。地域アートプロジェクトを否定するものではないですが、アートへの要請が「役立つこと」に偏りすぎると怖いです。そもそもこうした「すぐ役立つ」地域アートは、アート風に装ったデザイン(課題解決)です。役立つアートとは別に、アート(問題提起)本来の価値を社会のなかに担保する必要があります。
なにか、採算性の低いものから、「役立つ」ことへの圧力の高まりを感じます。出版だって経済規模が縮小しているわけですから、いよいよ「社会/地域の役に立つ本をつくれよ」となったら世の中さらに閉塞するなあと。いっそ一周まわって、社会の統治者に命ぜられる前に(あるいは、座して死を待つより)、「自ら社会/地域に役立っていく」という、個の尊厳の守り方、生存戦略はどうか。など考えているうちに、今度は公共交通のことに考えが入り込んで来ましたが、今日はこの辺にしておきます…
「大学と地域連携」という一つのテーマから、議員としての立場、市民としてまちづくりに取り組む立場、一個人としての立場、3つの考えを導いてくれる貴重な機会を得ました。得てしてそれらは双方に矛盾をしますが、状況が判断すると言いますか、答えというのは絶対的ではなく状況が代入されてはじめて、方程式が解けるものだと思います。自分のなかでそれら矛盾をそのときどきに統合していくのも、また一つの訓練だと感じた一日になりました。
編集者議員・堀直人
http://ebetsu2.net/