平成27年第4回定例会:一般質問
堀直人
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ただいま、議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。
今回の質問では、江別市のデスティネーションマネジメントについて、江別市における人材誘致や頭脳誘致の施策について、この2件についてお聞きしたいと思います。
それでは件名1、江別市のデスティネーションマネジメントについての質問に入らせていただきたいと思います。わたしが今回、江別市の観光に際することを質問するに至ったのは、やはりこれから旧ヒダ工場が商業施設「EBRI(エブリ)」として生まれ変わること、そして観光案内機能を持つ施設が整備されることが、江別市の観光行政の大きな転換期になるのではないかと感じるからであり、また転換期にしなければならないと思うからです。私事ですが、幼少のころから江別市が発行していた観光関連のパンフレットを収集していたわたしにとって、このことはやっとこの日が来たのかと胸躍るものですし、多くの市民の方にとっても楽しみなニュースになっているのではないかと感じられます。このプロジェクトが成功してほしい。純粋にそう思うものです。そこで、江別の観光はどっちに向かうのか。このタイミングで、そのことを整理・確認したいというのが本件の主旨になります。集客を目的とした旅行業・宿泊業・運輸業中心の従来型のツーリズムなのか。そうではなく、集客を手段として地域全体に波及効果をもたらせていく観光まちづくり、あるいは観光地域づくりといった方向性なのか。わたしは、江別市の特性を鑑みれば、江別市の観光行政の方向性は後者にあり、そうした場合、単なる観光振興ではなく、ディスティネーションマネジメントという発想で、地域全体が活性化していく仕組みに観光をツールとして活用していく必要があると考えるものです。こうした観点からこの件につきましては、6項目について質問させていただきたいと思います。
項目1、観光案内所をどうまちづくりに生かすかについてです。すでに従来型のツーリズムが盛んなまちであれば、旅行者のニーズに応じて適切な観光案内をすることが価値になると言えます。では、今まで観光案内所がなかった江別市において、従来型のツーリズムが盛んなまちのような観光案内所が成立するのかといえば、そうではないと言わざるを得ないでしょう。ならば、どうすれば価値のある観光案内所になるのか。それは、観光の案内をするだけでなく、業務の機能を拡張すること。さらに、観光についての案内だけでなく、案内の範囲を拡張すること。この2点が、必要になります。前者の観光案内以外の業務とは何かといえば、観光受付手配業務、いわゆるランドオペレーター業務です。江別市の特性を活かして、近隣地域にお住まいの方や近隣地域に訪れた方に「日常以上観光未満」という行動様式を提案し、団体旅行者ではなく個人旅行者に直接アプローチし、市内の農業体験や工場見学などを観光案内所で受付し手配することが可能となれば、パッケージツアーに頼ることなく、観光案内所がハブになって江別のコンテンツを提供することができます。後者の観光以外の範囲についての案内とは何かといえば、不動産・仕事・住環境情報の案内といった観光という交流人口を移住という定住人口につなげるための取組や、各種地域情報を積極的に案内することで経済活性化や地域の魅力を発信していく取組です。平成27年第2回江別市議会定例会の一般質問で、「コンシェルジュ機能を持ったまちの案内所のようなものが必要になってくる」と要望させていただきましたが、改めてこの観光案内所が持続可能なまちづくりを推進するための役割を担うのか。ひいては、従来型の観光案内所ではなく、業務の機能拡張を行ないランドオペレター業務などで新たな収益源の獲得を目指すのか、案内の範囲拡張を行ない観光の枠を超えた情報発信基地になるのか、そのお考えについてお答えいただきたいと思います。
項目2、DMOについてです。ディスティネーションマネジメントは、具体的に何をやるのかといえば、マーケティングであると言われております。ということは、顧客は誰か、またその顧客の求める商品やサービスは何かについての情報を収集するリサーチ。そのリサーチによって割り出された商品やサービスを具現化する商品開発。開発された商品やサービスを知ってもらうプロモーションおよびその価値を高めるブランディングといったことが、主な業務になるところです。DMOとは、Destination Management Organization(ディスティネーション・マネジメント・オーガニゼーション)、あるいは Destination Marketing Organization(ディスティネーション・マーケティング・オーガニゼーション)の頭文字を取った略語で、つまりはディスティネーションマネジメントを行なう組織という意味なのですが、その組織についてお聞きする前段として、江別市に訪れてくれる顧客のリサーチ、その顧客が求める江別産の商品開発、その見込み顧客に届けるためのプロモーションおよびブランディングについて、取り組むお考えがあるかお答えいただきたいと思います。またすでに取り組んでいることがありましたら、それについてもお示しいただきたいと思います。
項目3、産業振興の手段としての観光についてです。前述のとおり、江別市の特性を考えると、観光業の発展のための振興策ではなく、観光を集客の装置として機能させ、まちづくりにつなげていくのが主眼であると考えます。特に江別に訪れていただいた機会に、少しでも多く江別で消費していただけるように誘導することが、非常に重要な視座ではないかと思うものです。集客装置としての「EBRI」において、農産加工品や工芸品を売ることは農業振興・工業振興につながりうることでしょうし、積極的に周囲の飲食店や小売店に行きたくなる仕掛けをつくることで商業振興につなげるべきです。こうした産業振興としての観光誘客という視点から、これから実施していく予定の取り組みについてお答えいただきたいと思います。
項目4、協働のまちづくりの手段としての観光についてです。リニュアルオープンする「江別アンテナショップGET’S(ゲッツ)」は、これを機に観光案内所機能を備えた施設へとバージョンアップするものと理解しております。このことに関しては、非常に大きな前進であり、この判断と取組には心から賛同いたします。観光案内所ということは、否応なく江別に訪れる人にとっては「江別の顔」になるばかりか、江別に住む人にとってもシンボルになっていくものかと思います。そういった文脈から考えると今回、新しいアンテナショップの名前が公募ではなく、市が独自に決定したことについて残念に感じるとともに、市民と一緒につくっていく江別ということを本当に根付かせようとお考えなのか心配になる行為でした。この「江別アンテナショップGET’S」や「EBRI」を、これから地域にとって大事な場所として育てていくためには、市民をこの育てていくという長期的な取組に巻き込み、好きになり愛着を感じてもらい、利用してもらい、また市外の方々にオススメしてもらう、まさに市民との協働ということが大事な要になるのではないでしょうか。そういった意味でも、名は体を表すと言われるよう重要な位置を占めるネーミングを公募しなかったことに関しては、そのスタートを切る絶好のチャンスを逃してしまい、市民を巻き込んで好きになってもらう効果的なツールを捨ててしまい、さらに名称募集を「江別にはこういった施設ができる」という広報ネタとしても有効活用することなく、市民参加の動機づくりという点でも、マーケティング的・プロモーション的な点からもとてももったいなかったです。ただ済んでしまったことを言い続けても致し方ないものですので、今後はそのようなことがないように、そして観光を通じても、江別の将来都市像である「みんなでつくる未来のまち・えべつ」に到達していただきたいと思うものですが、このことについてお考えをお答えいただきたいと思います。
項目5、観光を契機としたシティプロモート等に際する庁内の連携および役割分担についてです。観光とは「光を観る」と書きます。すなわち、地域の魅力を磨き上げていき、それを感じてもらいに来ていただけるよう働きかけていくことが、観光における基礎的考えであると言えます。つまり観光施策を実施していくということは、副次的にシティプロモートへ寄与することになるのです。そうしたとき、シティプロモート部門のノウハウやリソースを観光部門でどのように生かすのか、また双方における地域イメージ形成や目的達成の戦略の整合性をどう保つのかという視点も重要ですし、とはいっても目的に向かう目標設定においては観光とシティプロモートでは違いますから、自ずと採用する戦術や事業・取組の優先順位が変わってきます。観光もシティプロモートも横断的な分野であるため、ある意味ではいかなることも観光になり、またシティプロモートになると言えます。だからこそ、なんでもかんでも観光の名のもとに事業が行われないように。だからこそ、なんでもかんでもシティプロモートの名のものに事業が行われないように。しっかりと目標を明確にしたうえで、やるべき事業や優先順位を整理しながら、経済部と企画政策部の事業が重複しないよう進めていただきたいと思うところです。そうしたことから観光において経済部だからこそできることは何か、そのための目標はどこに定めるのか、そのうえで効果的な事業実施をするために庁内の連携および役割分担をどのように行っていくのかお答えいただきたいと思います。
項目6、江別市だからこそできる新しい観光行政についてです。近年、マスツーリズムと呼ばれる従来型の旅行では、多様化する観光のニーズに対応できなくなっていると言われ、新しい観光のかたちが模索されてきました。まず、ニューツーリズムというかたちです。これは今までの物見遊山的な観光ではなく、テーマ性を持った体験型・交流型の観光を指し、農業体験や直売所でのお買い物を行なうグリーンツーリズム、川や森など自然とのふれあいを行なうエコツーリズム、産業遺産や工場見学などものづくりの現場を訪ねるヘリテージツーリズム、癒やしや健康を求めて保養を行なうヘルスツーリズム、アニメなどのロケ地を探訪するなど旅行者が充足しうる物語や興味に起因するコンテンツツーリズムなどが挙げられます。マスツーリズムの時代には、有名見学地がなく観光分野で注目を浴びにくかった江別ですが、このニューツーリズムであれば豊富に対応できる多様性がある地域であると見てとれます。次は、今回の質問の主旨でもある、観光を手段として地域課題解決を行なう観光まちづくり、あるいは観光地域づくりというかたちです。人口減少環境において、定住人口をいかに確保するという視点でも、交流人口を定住人口につなげるというのは重要でありますが、それには江別に訪れた方がリピーターになってもらい、ファンになってもらい、また同時に江別の住環境を知ってもらい、事前に江別の人と交流することで不安を取り除き、江別に引っ越してもらうという作戦を描いていく必要があります。そのため交流人口の分母を増やし、段階に合わせて地域情報を提供することが可能な「地域資源のワンストップ窓口」になりえる観光案内所には大きな可能性があります。今まで物見遊山的な観光情報を案内していた地域ではその発想を変えることも、団体旅行の比重がまだ多くを占める地域ではそのやり方を変えることも、非常に困難を極めるのではないかと推察されます。しかし江別市においては、観光案内所の前例がありません。全国に先駆けて新しい観光案内所、そして新しい観光の先行事例をつくることは、江別市にこそ優位性があると感じるところです。深まるグローバル化のなかで、観光はダイナミックな交流産業へとシフトしていく一方、地方創生が叫ばれる社会情勢においても、観光はますます重要な位置を占めるでしょうし、マスツーリズム以降、模索されていた次の観光のあり方も定まって来た今、さらにはその新しい観光のかたちが江別市ととても相性がいいものなら、積極的に先発優位性を獲得しにいくタイミングであり、その体制づくり・仕組みづくりに投資するべき時なのではないかと考えるものですが、こうした新しい観光について今度どのように取り組むお考えなのかお答えいただきたいと思います。以上が件名1、江別市のデスティネーションマネジメントについての質問でした。
続きまして件名2、江別市における人材誘致や頭脳誘致の施策についての質問に入らせていただきたいと思います。「人口減少時代は、地域間競争時代」と言われるように、あらゆる自治体が必死になって地域を維持するためにヒト・モノ・カネの獲得に向けて競う時代に突入しました。もちろんこうした情勢において、地域が疲弊し合わないように、各地域が棲み分けていく生存戦略についてを構想する必要がありますが、この議論に関しては別の機会にするといたしまして、当面はこの情勢下に対応して江別市も進んでいく必要があるようです。そうしたとき、経済を安定させ地域を維持していくための付加価値をつくる民間の力を育てるための土壌をいかに整備するかということが、行政に求められる調整力・推進力なのではないかと思います。江別が選ばれるまちになるには。また江別の価値を感じて選んでくれた人たちが、さらに価値を創出してくれるという好循環をつくるにはどうしたらいいか。このことについて、江別市がどのように取り組んでいくのかというのが本件の主旨になります。江別市のなかで価値をつくる人材や才能をいかに誘引するのか、3項目について質問させていただきたいと思います。
項目1、江別市内で起業等の新しい価値をつくる人や行為をいかに誘致するかについてです。江別市は、産業振興策として企業誘致に取り組まれていることと思います。また地域内キャッシュフローを増やすためにも、誘致企業の本社移転を働きかけたりなどについては行われていることと思いますので、本項目は人材や能力の誘致について質問いたします。人材や能力の誘致と新価値創造ということでは、多くの人に「江別で起業したい」と思っていただくことが、大きな位置を占めてくると考えています。江別に住んでいる方にとっても、例えば食べ歩きできるような多様な飲食店が増えれば居住満足度が上がります。移住を検討されている方にとっても、例えば新居を探すことの多い女性が好むようなカフェや雑貨店が多くあれば江別市のアピールになります。江別の教育機関に通っている方にとっても、例えば若い人が集まれる新しい感性を刺激する場の存在が地域への愛着につながります。しかしこうしたことは企業誘致の場合、「江別ならでは」という江別市を選ぶ必然性をつくりにくいため、このことについて起業への期待がされます。また江別にある駅というのは、札幌の職場に通勤する流れが多いことから、江別市内の駅前に企業誘致がなされるというのは良いことかと思いますが、同時に駅前や商店街で飲食店の開業や小商いの創業が多くなされれば、したたかでしなやかな経済をつくっていくことができます。さらに工業立地だけでは上限があることからも、住宅地・商業地で可能な事業についての起業促進が必要かと感じるところです。そこで起業支援といえば、大きく分けて起業相談や起業スクールなどの技術的支援、メンター紹介やコラボレーションマッチングや信頼性担保や情報発信などのネットワーク的支援、補助金や制度融資などの資金的支援があるかと思いますが、江別市が取り組んでいない支援について、今後はどのように考えていくのか。産業振興における起業支援の重要性、そのための人材や能力の誘致の必要性も含めてお答えいただきたいと思います。
項目2、江別市内で地域活動等の新しい価値をつくる人や行為をいかに誘致するかについてです。前項では経済活動に関する新しい価値に関してお聞きしましたが、経済活動だけでは解決できない地域課題もあり、たとえば空き家・空き店舗の活用や地域における事務局業務などのエリアマネジメント、中間的立場から市民参加を促し市内の連携・協働を横串で推進するコーディネート、江別の魅力を積極的に掘り起こし編集し伝えていく地域資源発掘や情報発信など、すぐにビジネスとしては採算が合わないかもしれませんが、こうした地域課題解決に資する地域活動の重要性は大きくなるばかりです。人口が増えていく環境から人口が減っていく環境に変わるという地域経営条件の変化に対応するためにも、新しい発想で地域の課題解決に取り組んでいくために、よそ者の力が地域に必要ではないでしょうか。地域をよくしたい、社会に貢献したいと考え、新しい価値をつくる人材や活動の誘致を呼び込む仕組みについて、今後はどのように取り組まれていくのかお答えいただきたいと思います。
項目3、社会経験が豊富にある優秀な人材を職員採用するための方針についてです。地域間競争と言われる昨今おいて、職員採用についても自治体間で激しく競争があるようです。そうしたなか優秀な人材を採用するためには、間口を広くより多くの方を募ったなかから、職員採用する必要があるように感じられます。こうした環境変化を受けてか、他の地方公共団体では応募条件に年齢制限を廃止するケースが出てきていますが、江別市においては40歳までが応募条件になっています。民間企業で豊富な経験を積んだ方が、故郷江別のために働きたい、家族の事情などで江別に戻ってきた、江別市近隣に住んでいる方や転勤してきた方が何かのきっかけで江別の魅力を知ったなど、40歳をすぎて江別市職員として今までの経験を生かそうと思われる方もいるのではないかという可能性を想定したとき、この年齢制限というのは優秀な人材を確保するうえで、逆効果をもたらすフィルターになってしまいはしないか心配です。基本として、法に基づいて公平・公正かつ確実な事務を行なうという行政と、利益の最大化が企業の社会的な責任であるという民間企業では、仕事の仕方が違います。ただ一方で、人口が増加しその対応に迫られていた時代と、人口が減少し知恵を絞ることが迫られる時代では、行政のあり方も少しずつ変化していき、そのなかで行政に求められる仕事も今までにない領域になっているのもまた事実ではないかとも思います。流山市では今から11年前の2004年に、民間からの人材登用で「マーケティング課」を設置しました。こういう民間に多くノウハウがある領域に特定し、外部人材を起用するというやり方もあろうかと思います。時代の変化に伴い要請される新しいニーズに対応できる職員を採用し、確実な事務を行なってきた職員とのシナジー効果が発揮することが、人口減少環境における持続可能なまちづくりを遂行できる江別市役所の体制づくりに寄与するのではないかという観点から、職員採用の年齢制限や、特定テーマに限定し社会人採用することで民間ノウハウを獲得する方針についてお考えをお答えいただきたいと思います。以上が件名2、江別市における人材誘致や頭脳誘致の施策についての質問でした。
これをもって、わたしからの1回目の質問とさせていただきます。
三好昇市長
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堀議員の一般質問にお答え申し上げます。まず最初に、江別市のデスティネーションマネジメントに関連しまして、2件御答弁申し上げます。
まず、観光案内所をどうまちづくりに生かすかについてでありますが、旧ヒダ工場は、本年度、民間事業者により改修され、新たな商業施設として利活用することとなったものであります。この改修に伴いまして、アンテナショップを、江別市、グレシャム市及び土佐市の情報の展示やモニターによる情報提供等、それぞれの魅力の発信に努めることを目的に、新たに市内の観光情報を発信する機能を備えた施設として再整備するものであります。この施設を市民や観光客に、徒歩で回れる健康ウォーキングマップや食べ歩き等の情報収集の場として利用いただくことで、江別の魅力を発信し、交流人口の増加につながるものと考えております。また、アンテナショップの機能及び範囲、情報発信につきましては、観光に関する情報が主なものとなりますが、今後におきましては、市民や観光客等の要望などに合わせ、段階的に業務の拡大について検討してまいりたいと考えております。
次に、観光を契機としたシティプロモート等に際する庁内の連携及び役割分担についてでありますが、市では、目指すまちの姿とそのまちの姿を実現するための計画としまして、江別市第6次総合計画を策定し、前半の5年間で重点的・集中的に取り組むものとしまして、えべつ未来戦略を定めております。えべつ未来戦略では、四つの柱となる戦略があり、その一つであるシティプロモートは、市民や企業などが主体となるまちづくり情報発信の促進、江別市に来てもらうための観光・産業情報の発信、江別市に住んでもらうための生活情報の発信など、江別市のイメージづくりを進め、江別市の認知度の向上を目指しているところであります。また、観光による産業の振興を進める上での施策であります地域資源の発掘と活用、観光・イベント情報の発信、江別ブランドの確立を経済部の役割として位置づけており、観光振興による交流人口の増加と経済の活性化を図ることを目標としております。このように、シティプロモートと観光は、共通する部分が多く、幅広く連携していくことが重要でありますことから、全庁横断的な政策会議で各部の役割を調整し、さらに企画政策部が中心となり、事業が重複することがないように、効率的な取り組みを進めております。
次に、江別市における人材誘致や頭脳誘致の施策に関連しまして、市内で起業等の新しい価値をつくる人材などの誘致についてでありますが、市といたしましては、市内で新たな事業が創出されることは地域経済の活性化につながるものであり、産業振興の基礎となる重要なことと認識しております。
これまでも、市内で起業を希望する方々のニーズに対応しまして、起業化促進支援相談員による相談対応、商店街参入促進のためのセミナー開催、インキュベート施設である元町アンビシャスプラザへの入居あっせんなど、市民だけでなく市外の方も対象に支援を行ってきたところであります。こうした取り組みの積み重ねによって、市外の方による小売店や飲食店の開業につながった例もあります。市といたしましては、起業後のフォローアップが次の起業につながるものと認識しておりますことから、現在、江別商工会議所と連携して、起業からフォローアップまで一貫した支援を行う体制づくりを検討しているところであります。また、現在、ホームページ等で当市の起業支援の取り組みについて周知を行っているところですが、さらに多くの方に知ってもらえるよう、情報発信に努めてまいりたいと考えております。
次に、市内での地域活動など新しい価値をつくる人材やその活動の呼び込みについてでありますが、当市におきましては、本年10月28日に策定した江別市まち・ひと・しごと創生総合戦略において、総務省が平成21年度より制度化した地域おこし協力隊制度を住みかえ支援や観光等に活用することについて、検討していくこととしております。この制度は、人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地方自治体が地域外の人材を誘致し、定住・定着と地域力の維持・強化を図ることを目的としているものでございます。制度の効果としては、外部からの視点による地域活性化や任期満了後の定住などが挙げられており、新しい発想による地域の課題解決にも資するものと考えておりますことから、具体的な活動内容等につきましては、今後、検討してまいりたいと考えております。
次に、社会経験が豊富にある優秀な人材を職員採用するための方針についてでありますが、市では、民間企業経験やボランティア経験などさまざまな社会活動を経て培われた経験を公務に生かすため、平成14年度から社会人経験者の採用試験を実施しております。この間、平成18年度の採用試験からは、年齢要件を30歳以上40歳未満に拡大し、平成20年度からは、職務経験を撤廃し、平成21年度からは、学歴要件を大学卒業以上から高校卒業以上とするなど、常に試験内容の見直しを行いながら、人物重視で優秀な人材の確保に努めてまいりました。近年、人口減少、少子高齢化が進行し、常に社会情勢の変化を踏まえた柔軟な対応が求められる中で、専門的な知識や豊富な経験のある人材は、引き続き市政運営に必要であると考えております。今後におきましても、多様な行政需要に柔軟に対応し、魅力あるまちづくりを進めていくため、大学の部とのバランスや職員の年齢構成などを考慮し、受験者確保に向けて受験資格の見直しなどを行いながら、求める人材を採用してまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございますが、このほかの質問につきましては、経済部長からお答え申し上げます。
後藤好人経済部長
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私からは、江別市のデスティネーションマネジメントについての御質問のうち、DMOについてほか3件について御答弁申し上げます。
初めに、DMO、デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーションについてでありますが、観光地域づくりによる地域経済の活性化には、来訪客に関する客観的なデータの収集・分析、顧客ニーズに合致した商品やサービスの開発、商品・サービスのブランド力向上と効果的な販売促進のための宣伝、これらのマーケティングに基づく観光振興策の取り組みが重要と言われております。これまでの当市におけるマーケティングに基づく取り組みといたしましては、子育て世代をターゲットに、子供と楽しむ観光ルートパンフレットを札幌市内の幼稚園・保育園へ配付したほか、陶芸体験や観光施設を楽しんだり、農業を体験する親子バスツアーを実施しております。さらには、安心・安全な食を求める人たちを対象に、えべつかあさんブランドの認証制度による江別産農産物加工品のブランド力向上に取り組んでおります。また、子育て世代が安心して楽しめる施設であるぽこあぽこは、子育て支援に関する保護者アンケートによるニーズ調査に基づき開設したもので、江別市外からも多くの親子に利用されているところです。今後におきましても、旧ヒダ工場商業施設EBRIを訪れた方からのデータ収集や分析、さらにビッグデータの活用など、江別市におけるマーケティングに基づく観光振興の取り組みを推進してまいります。
次に、産業振興の手段としての観光についてでありますが、観光誘客という視点から実施していく予定の取り組みにつきましては、旧ヒダ工場商業施設EBRIにおいて、12月12日のプレオープンを皮切りにさまざまなイベントを計画しております。イベントの一つとして、江別市で初開催となるインテリア及び日用雑貨、工芸品のお店が集まり販売を行うLOPPISや野菜や農産加工品を扱うえべつマルシェ、さらに江別アンテナショップGET’Sにおいても、常時、江別・グレシャム・土佐関係の特産品の販売を行います。また、市では、市内の商業者、農業者によるイベント等が開催できるよう民間事業者に対して要請をしているところであります。いずれにいたしましても、各テナントでの販売等については、来年3月下旬に予定しております施設のグランドオープン後となりますが、市といたしましても観光誘客を視野に入れた交流人口の増加と商工業や農業振興につながるイベント等の取り組みを行うほか、市内施設の情報発信を行うなど、地域の観光につながるよう検討してまいりたいと考えております。
次に、協働のまちづくりの手段としての観光についてでありますが、旧ヒダ工場の保存活用事業は、昨年度、公募により事業者を決定し、みずからが施設を改修し、商業施設として運営する中で収益を上げる事業として、本年度から実施されているものであります。本事業につきましては、活用の一環として、名称の決定方法も含め事業者に委ねておりますことから、事業者みずからがEBRIと命名したものであります。また、江別アンテナショップGET’Sにつきましては、平成13年度にオープンし、市民に親しまれてきた江別グレシャムアンテナショップの名称を一部変更し、グレシャム、江別、土佐の関係性をあらわしたものであります。なお、市の施設では、平成25年度にぽこあぽこ、平成27年度によつば保育園など、名称を公募している施設もあり、名称の公募は施設に対する市民の関心を高める機会の一つであると認識しておりますが、この施設は商業施設として、今後もさまざまな仕掛けをする中で、市民や観光客の皆様にPRを続けていくものであり、そうした中で市民の認知度も高まっていくものと考えております。いずれにいたしましても、今後もイベントなどの集客行事の開催、魅力的な店舗づくり、あるいは情報発信などを数多く行うことで市民等に親しまれる施設となるよう支援してまいりたいと考えております。
次に、江別だからこそできる新しい観光行政についてでありますが、市では、平成25年度に旧来型ではない江別にあった観光のあり方について、市内大学等インターンシップ実習生による検討、次に市若手職員による検討を行い、これらの結果を受けて、学識経験者を初め、江別観光協会、旅行業、商工業、農業関係者を含めた全市的な検討会を実施したところであります。これらの検討会の中で、江別が持つ強みと弱み、重点的に取り組むべき事項、マーケティングの手法などが議論され、キーワードは、日帰り、立ち寄り、手ぶら、食と農、体験などがあり、江別の観光としては、江別を知ってもらうことに主眼を置いた日帰り型観光の方向性が示されたところであります。特に、潜在的な要素を持つ食と農、体験を観光に取り入れることにより、ビジネスにつながる可能性があることから、今後、情報の発信拠点である江別アンテナショップGET’Sを活用し、地域の観光振興につながるよう努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
堀直人
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ご答弁いただきありがとうございました。ただいまお答えいただいた内容から、観光行政の方向性、人材誘致の取組状況について理解いたしました。したがって、私から現段階で質問することはありませんので、要望を述べて、終わらせていただきたいと思います。
まず件名1、江別市のデスティネーションマネジメントについての要望です。項目1、観光案内所をどうまちづくりに生かすかについてですが、市民や観光客等の要望等に合わせ、段階的に業務の拡大について検討するという今後の方針、把握いたしました。ニーズというものは、待っていてもなかなか汲み取れないものですから、積極的に潜在的な需要を掴める手法を開発していただき、江別市のまちづくりに観光案内所を活かしていただきたいと思います。加えて、観光案内所は「江別の入口」、あるいは「江別の顔」にある場合も多くあろうかと思います。このことをマイナスではなく、プラスに働くようにするためにも、観光案内所に訪れた人にさりげないやさしさ、かゆいところに手が届く気遣いを感じてもらい、江別の好感度を高め、江別のファンづくりの拠点にこの場所を育てていただけるよう要望したいと思います。
項目2、DMOについてですが、今後これから取組を推進していく過程で、その推進組織についても検討されるものであろうと理解いたしました。これからの観光には「いまだけ・ここだけ・あなただけ」が必要だと言われています。そうした視点からもマーケティングに関して、まずは顧客情報、つまり「江別にどんな人が来ているのか」という把握が出発点になろうかと思います。事業者が所有している利用者情報などを非個人情報にして活用できるような環境整備や、売上増に繋がると言われる訪れた人の満足度向上のための基礎となる調査をするなどについて、データ収集や分析、さらにビックデータの活用など、江別におけるマーケティングに基づく観光振興の取り組みを推進するという今後の方針に期待しながら、江別でしかできないという江別の必然性をもたらす商品・サービスの開発支援、第6次江別市総合計画にも謳われている「江別ブランドの確立」についての具体的・包括的な企画立案について要望したいと思います。
項目3、産業振興の手段としての観光についてですが、さまざまなイベントの実施および検討が進められていること把握いたしました。今後さらなる取組の推進を図ることと思いますが、利用者にとってわかりやすく、イメージ形成の促進にも助けとなる、ブレない理念やコンセプトを打ち出しながら、観光誘客を手段とした戦略的な産業振興でマーケットを捉えていただきたく要望いたします。
項目4、協働のまちづくりの手段としての観光についてですが、まず「江別アンテナショップGET’S(ゲッツ)」の名称については、平成13年度の名称決定の流れで、今回の名称変更を行なったこと把握いたしました。時代も移ろっており、折しも今年の10月に、市民参加の手続を定めた江別市市民参加条例が制定されたのも、まちづくりへの市民参加を推進するためであるということです。ぜひ「れんがのまち・江別」のシンボルたりえるこの場所を通しても、まちづくりへの市民参加を推進する回路にし、そのことでこの場所が市民などに親しまれる相乗効果を創出していただけるよう要望したいと思います。
項目5、観光を契機としたシティプロモート等に際する庁内連携及び役割分担についてですが、シティプロモートと観光はともに横断的な分野なので、双方がバッティングぜず相乗効果をもたらし合える立体的な視野が必要になります。そのことについてお答えからご理解いただいているものと認識した次第ですので、全庁横断的な政策会議で各部の役割を調整し、企画政策部が中心となり、事業が重複することがないように効率的な取り組みを進めるということについて、引き続き注目させていただきたいと思います。観光は滞在時間が長期化することで、お昼ごはんを食べたり消費行為が生まれると言われています。そういう意味で他にも、図書館や郷土資料館などの施設を有効活用し、江別を知り、江別のものを消費していただけるように誘導する手法など、観光には多様な連携を可能とする機能がありますので、庁内での観光を通した分野横断的な連携についてのさらなる研究を要望いたします。
項目6、江別だからこそできる新しい観光行政についてですが、平成25年に行なわれた「江別の着地型観光プラン造成のためのワークショップ」というものに、参加させていただいたことがあります。講師の方によるご講演やSWOT分析などを用い、具体的な観光プランの造成について話し合われたことを記憶しております。ご答弁からこうした取組についても、今後さらに生かされていくものなのかなと認識しております。質問でもお話したように、江別市こそ今後の新しい観光に有利だと考えます。観光が地域資源をパッケージ化する機能を発揮することで経済の活性化に寄与すること、集客装置としての機能を発揮し交流人口を定住人口につなげること、さまざまな観光の機能を使い倒す観光地域づくりを進めるべく、DMOの先行事例を調査研究しながら、デスティネーションマネジメントの推進について要望いたします。
続いて件名2、江別市における人材誘致や頭脳誘致の施策についての要望です。項目1、江別市内で起業等の新しい価値をつくる人や行為をいかに誘致するかについてですが、起業からフォローアップまで一貫した支援を行う体制づくりという、起業を育て成功に導くことで、次の起業したいという人につなげていくという方向性に、とても共感するところです。起業という新しいことに踏み出そうというときには、わからないことや不安に思うことが多くのあるものです。そのため起業家にはメンターと呼ばれる存在や、起業した者同士が交流できる場の存在やコミュニティづくりは効果的であり、人と人、シーズとニーズをつなぎ、コラボレーションをコーディネートする取組が要なポイントです。さらに投資的な資金が必要になり、経営体力が設立当初で弱い起業は補助金も大きな後押しになります。江別には「こういう課題や資源があるからこういう事業を求めている」という分野を具体的にして募集したり、社会起業やソーシャルビジネスというタイプの起業に絞って差別化したり、または法人化を条件に小規模定額の使いやすい補助金にするなど、他自治体にはない起業補助金は江別市で起業する必然性になりえます。江別市は大都市に近く便利でありながら、大都市と比べ地価が安く、とても起業に潜在的な優位性があると感じるところから、挙げさせていただいたような、今まで江別市になかった新しい支援メニューについても検討していただき、「起業するなら江別」と思っていただけるような起業施策の充実・展開について要望いたします。
項目2、江別市内で地域活動等の新しい価値をつくる人や行為をいかに誘致するかについてですが、新しい発想による地域の課題解決について、地域おこし協力隊制度という具体的な施策としてお考えくださり、ありがとうございました。地域課題解決活動を「江別で取り組んでみよう」と思ってもらうには、独自性・時代性・普遍性を鮮明にしながら、「江別であるべき必然性」が伝わりやすいように編集して情報発信する必要があります。また継続的な地域課題解決を支援し、地域住民を巻き込みながら好循環をつくるための環境整備も必要です。たとえば横浜では、「LOCAL GOOD YOKOHAMA」という地域課題の投稿受信およびデータベース化、ニュース配信、クラウドファンディングなどをウェブ上で行なう地域課題プラットフォームがあり、これには横浜市も共創案件として支援しているようです。今後さらなる市の新しい発想による地域課題解決活動の支援・推進に期待しつつ、このような人材誘致を効果的にする情報発信と環境整備について要望したいと思います。
項目3、社会経験が豊富にある優秀な人材を職員採用するための方針についてですが、人物重視で優秀な人材を確保するように努めてこられたこと、受験者確保に向けて受験資格の見直しなどを行いながら、求める人材を採用していくという今後の方針、理解いたしました。組織運営に際して、さまざまな角度からバランスを見ながらということになるものだと思いますが、他の自治体で特定の専門分野で任期付職員として幹部登用するという事例がありました。こうした例も含めた多様な人材確保の手法を検討しながら、時代の環境変化に伴い要請される人材確保の推進について要望し、わたしからは以上とさせていただきます。ありがとうございました。
※この全文は、音声等をもとに起こしたものです。