平成29年第3回定例会:一般質問
堀直人
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ただいま、議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。
「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本と」する。地方自治法第一条の二において、そのように地方公共団体の役割が定められています。これは、観光行政についても課せられた役割なのでしょう。つまり、観光政策を推進することにおいても、市民福祉の向上、すなわち市民の「しあわせ」や「ゆたかさ」に貢献することが求められる。たとえ観光であっても、市民の生活の質を高める政策でなければいけないということです。しかし、全国各地の観光行政に目を向ければ、地方公共団体に課せられた役割を果たせるものになっているとは限りません。渋滞が起きる、ゴミが増える、私有地が荒らされる、住民からしたら観光なんていらないとされる。観光による住環境の悪化、これだけが住民の実感になってしまうことだけは避けなければなりません。一方で、観光の恩恵を市民が実感したのちには、シビックプライド、すなわち地域への愛着と誇りが生まれ、自治意識の涵養される。いわゆる、協働のまちづくりを発展させる回路にも観光はなりえるのです。
EBRIの開業、観光案内所の設置、観光振興担当職員の配置と、江別市の観光行政は急速に進展しているものと捉えています。さらには新聞報道によると、道の駅の検討のための研究会が発足したとのことであり、それが市内中心部から離れた立地ではなく、かつ大学連携という江別の特性を生かした堅実な内容を予感させる検討に、とても期待が持てるものでした。市外から集客をする観光誘客に関しては、施策が充実してきている。観光活動を盛んにしていこうとする観光振興についても、対策が図られていくことでしょう。しかし、観光経営は客数だけでは成立しません。商店であれば、客数×単価×回転率が一日の売上になります。戦略を考えるとすれば、客数だけでなく、単価やリピート率、いわば高く売る、高いものを売る、二毛作を考える、繰り返し買ってもらう、こうした観点が必要です。そうした観光のゆくたてを俯瞰し、客数を正味の実入りつなげるという観光を全体的に捉えた政策を求められます。地方公共団体に課せられた役割を果たせる観光政策は少ない、そのようにさきほど申し上げました。しかし、観光政策における固定概念を持ちにくい江別市は、地方公共団体に課せられた役割を果たせる観光政策を実施できる蓋然性が高いです。大都市のとなりという特性に適した、郊外型というまったく新しい観光政策ができるという可能性もあります。そしてその政策が、江別市のイメージや認知度を押し上げ、堅実なブランド形成につながるであろうという観点から、江別市ならではの市民福祉を向上させる従来型ではない観光政策について、2項目の質問をさせていただきたいと思います。
項目1、観光誘客を定住促進につなげる手法についてです。経済活性化策として、観光誘客による定住促進が有効ではないのかということについて、この項目では質問いたします。訪れてみたい「まち」は、住んでみたい「まち」である。こうした視点から、住んでよし訪れてよしの「観光まちづくり」という方向性が、人口減少環境を背景に観光政策のトレンドになっています。これも、観光が定住につながることで、消費額が最大化するという観点があってこそのものです。札幌市が平成27年に改訂した「札幌市観光まちづくりプラン」では、集客交流から物産・ビジネス支援、定住人口獲得へという展望を見据え、①憧れ型消費、②体験型消費、③交流型消費、④ライフスタイル型消費、⑤移住という5つのステップで観光政策を描いています。なぜなら、生涯消費額の最大化するには、消費の移転であり資産の移転である移住が最も効果的だからであり、観光を入口に交流を繰り返し、ますます地域への愛着を蓄積していくことにより、「一度は行きたい場所」から「いつかは住みたい場所」に転換していくことが、経済活性化に極めて有効だからです。こうした方向性は、観光地ではない江別市にこそピッタリです。平成28年第3回定例会の質問に対する答弁にあるように、「交流人口の増加が直接、定住人口の増加につながっていることを具体的なデータで把握するのは難しい」です。しかし、定量的に効果を測定するのは難しいとしても、観光振興による経済活性化策として移住を目標にするのは、江別市に適してます。よって、観光誘客を定住促進につなげるのは、政策的に有効であると考えるものです。江別市もぜひ、こうした先行事例を参考にし、観光誘客を定住促進につなげることで地域経済の活発化を目指していかがと思うものですが、お考えをお聞かせください。
項目2、市民のための観光政策についてです。平成28年第3回定例会の一般質問においても、「観光で歳入を増やし、市民に還元いていく。この視点が、観光行政には欠かせません」。そして、「しっかりと税収につながる観光、つまりは、市民の生活の質を向上させるための観光行政を構築していただきたい」という主張をさせていただきました。この項目では、この部分をさらに掘り下げて、市民と事業者が実感できる観光政策とはなにか。江別市に特性を観察すれば、観光を税収につなげ、その税収をもって市民サービスの充実を明確に目指すことこそ、市民と事業者が実感できる観光政策ではないのだろうかという質問をいたします。事業者が実感できる観光政策を行なうには、観光を産業振興につなげていくことが必要です。観光振興計画の基礎資料として公表された認知度・魅力度マッピングで、魅力度上位となった江別のパンやスイーツは、観光入込客数で測ることができないような小さなお店が多く、こうしたお店が継続的な商売ができること、また小さくてもこうした個性的なお店が増えるような商業振興・商店街活性化や起業支援・事業承継などの施策展開が求められます。同時に、そうした施策展開により、江別の魅力度・コンテンツ力が高まることが観光誘客の武器になり、観光と商業は相乗効果をもたらしていくものです。さらには、こうしたお店が江別産農作物を使用することによって、経済波及効果が高まったり、江別産農作物の魅力を発信したり、農業の6次化を進めて加工品を販売したり、農業振興とも観光は関わってくるものです。こうしたことは、食と農のプロモーションを進めている市の現状を観察すれば、今後も推進されるものであると捉えております。観光には、景観も重要です。景観観光を進めるうえで重要になるれんがですが、れんがの使用促進策によりれんがの景観整備を進めれば、工業振興にもつながります。そしてなにより、着地型観光事業者や宿泊事業者が増え、その事業者が儲からなければ、担い手不在の絵に書いた餅になってしまいます。こうしたことも、観光人材の育成などをもって図られていることであろうと把握するものであり、観光による産業振興はこれからも進展していくものだろうと理解しています。しかし、江別市の就業実態を見ると、概ね半数の住民の方々が札幌市に通勤しています。温泉地や農山漁村であれば、産業振興=市民の生活の質の向上と言えます。
しかしこうした江別市の統計は、産業振興だけでは市民の生活の質の向上と言えないということを物語っております。すなわち、江別市における市民が実感できる観光政策というのは、観光振興を税収につなげ、市民サービスの充実をもって、観光の恩恵を市民に還元していくことであると言えます。たしかに、観光によっていくら税収につながったかということを示すことは困難で、ましてそれを定量的なデータとして測定するのは現実的ではないでしょう。しかし、観光で税収を増やし市民に還元するという旗印を掲げ、そのための戦術を具体的に示していく。そうした志と戦略がなければ、観光地ではない江別市においては、なかなか市民に観光が受け入れられにくいのではないでしょうか。たびたび、観光による地域の環境悪化が報道される美瑛町も、たしかに景観観光が中心ゆえ、観光そのものでお金は落ちにくい特色を持っています。しかし、観光によるブランド力向上と、農業振興や企業誘致に因果関係が皆無とは言えないでしょうから、観光の副次効果で町民福祉を向上させるという戦略を描き、それを町民に訴えていくことで、観光の恩恵を実感する町民が増えうるものです。一方、東川町では「写真写りの良い町」という目指す場所と目指し方、つまり志と戦略を打ち立て、観光・景観・住宅などの政策を一体的に進めてきました。こうした取り組みを20年以上も続け、全国から観光客・移住者・ふるさと納税が集まるまちになりました。町工場の多い墨田区では、産業振興が区民福祉の向上であり、観光誘客も産業振興の手段であると位置づけました。あのスカイツリーも、産業振興であり、区民の生活の質向上のためにあるということです。その土地ごとに地域事情は異なり、まちの数だけ観光政策があるのです。江別市においても、江別市なりの観光政策があるはずです。そして、江別市の特性を鑑みたならば、観光振興を税収につなげ、市民サービスに還元することで、市民の生活の質を向上させる。これを戦略とし、観光政策として市民に伝えていくことが、市民が実感できる観光なのではないか。わたしはそのように分析するものですが、このことについてお考えをお聞かせください。
一回目の質問は、以上です。
三好昇市長
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堀議員の一般質問にお答え申し上げます。
江別市ならではの市民福祉を向上させる従来型ではない観光政策に関連しまして、まず、観光誘客を定住促進につなげる手法についてでありますが、いわゆる交流人口を定住人口につなげていくためには、まず、江別に興味を持ってもらい、来てもらい、知ってもらうことから始め、江別を好きになってもらい、住んでもらう、こういった段階を踏んだ取り組みが必要であると認識しているところでございます。当市では、平成26年度に策定しましたえべつ未来戦略において、ともにつくる協働のまちづくり、えべつの将来を創る産業活性化、次世代に向けた住みよいえべつづくり、えべつの魅力発信シティプロモートの四つの戦略を設定し、観光に関する推進プログラムとしましては、子育て世代が定住したくなる住環境の整備と教育内容の充実、江別に来てもらうための観光・産業情報の発信、江別に住んでもらうための生活情報の発信など、関連する各事業を重点的・集中的に取り組んでいるところでございます。その結果、平成28年度の観光入り込み客数は、EBRIの開業効果もありまして、104万6,000人となり23年ぶりに100万人を突破し、多くの方に江別市を訪れていただいたところでございます。また、平成23年度から取り組んでおります人口減少対策が子育て世代を呼び込み、30歳代の人口と14歳以下の年少人口の増加につながり、昨年は9年ぶりに259人の転入超過となっており、議員御指摘のとおり、観光誘客が定住人口につながりつつある状況と認識しているところでございます。今後におきましても、えべつ未来戦略に基づきまして、この流れをとめることなく、観光による交流人口を拡大させ定住人口の増加へとつなげてまいりたいと考えております。
次に、市民のための観光政策についてでございますが、国土交通省総合政策局観光部の調査報告書によりますと、観光がもたらす経済効果は、観光客が地域で消費する直接消費から、関連事業者の生産・雇用・税収の拡大へとつながるものとされております。当市の商業施設の動きを見ますと、レストランなどの飲食店の増加、昨年開業したEBRIやことしオープンしました野菜の駅ふれあいファームしのつなどによりまして、今ほど申し上げましたが、観光入り込み客数が平成28年度は23年ぶりに100万人を突破したところでございます。
さらには、来春完成予定の野菜直売所とパン工房との複合施設が着工されるなど、さらなる観光入り込み客数の増加が期待できる環境が整いつつあり、観光による経済循環の拡大が期待されているところであります。議員御指摘のとおり、観光による産業振興は重要と考えておりますことから、平成26年度からスタートしました第6次江別市総合計画えべつ未来づくりビジョン、平成27年度に策定しました江別市まち・ひと・しごと創生総合戦略の中におきましても、観光振興を積極的に進めているところでございます。いずれにいたしましても、現在策定中の江別市観光振興計画におきましては、食と農の魅力発信、6次産業化、広域団体や近隣市町村との連携などを進める協議が行われておりますことから、引き続き観光振興によります地域経済の発展、雇用の促進、企業立地などにつなげてまいりたいと考えております。答弁は以上でございます。
堀直人
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それでは、2回目に入らせていただきます。
項目1、観光誘客を定住促進につなげる手法についてです。前回の「交流人口の増加が直接、定住人口の増加につながっていることを具体的なデータで把握するのは難しい」という答弁から大きく前進し、「観光による交流人口を拡大させ定住人口の増加へとつなげてまいりたい」とお答えいただきました。価値ある印象を受けるとともに、改めて江別市の観光政策が、着実に成果を挙げているということを、率直に感じるところです。今後は、観光誘客を定住促進につなげるには、具体的にどのようにすればよいのかということになります。それには関係人口、今回の参考としました札幌市観光まちづくりプランでいうところの交流型消費が要です。前回の一般質問でも挙げたゲストハウスは、交流型消費をもたらすと同時に、江別市の宿泊施設不足を解消し、インバウンド観光の進展にもなり、空き店舗対策にもなります。来年6月に施行が予定されている住宅宿泊事業法による民泊であれば、ゲストハウスより緩和された条件で宿泊事業が可能であり、空家等の対策としても期待でき、既存の宿泊施設と競合しにくい江別市においては、広く普及する可能性を持っています。加えて、コミュニティ機能を持ち、地域特性を踏まえた個性的で魅力ある商店街の活性化も、交流人口を関係人口につなげることに有効でしょう。さまざまあるこうした可能性を、どのようにして政策的に孵化させ、江別市の経営に活かしていく具体的な方策について、さらなる調査研究を続けていただきたいです。
併せて、平成28年第3回定例会の観光案内所の機能拡張に関する質問に対して、「観光客のニーズ把握に努め、住環境情報など、発信する情報の種類、量の拡充を図ってまいりたい」とご答弁をいただきましたが、観光案内所で住環境情報を提供することは、観光誘客を定住促進につなげる具体的な取り組みとして実効性を持ちうるので、こちらに関しても引き続き進めていただけたらと思います。これら、観光誘客を定住促進につなげるための関係人口の創出、観光案内所の機能拡張など具体的方策については、一回性消費を交流型消費、すなわち関係人口につなげ、定住人口へとステップアップさせていく江別市の観光政策の今度に期待しながら、進捗を見させていただき、また時期を改めて質問したいと思います。
続いて項目2、市民のための観光政策について、再質問させていただきます。一回目の質問でも申し上げたように、事業者にメリットがあり、効果を実感できる観光というのは、産業振興でしょう。これは、ご答弁のとおりでございます。ただ、産業振興だけでは対象が限定的であり、市民全体にメリットがあり、効果を実感できる観光には至らないのではないか。この点が気になっておりまして、効果を実感可能にするためには、観光を税収につなげ、市民サービスの適切な充実を講じることにより、生活の質が向上するという市民のメリットが必要なのではないかと感じるのです。先程も申し上げたように、観光が税収につながったのか。こうしたところの測定までを求めるのは現実的ではないですから、現段階では既存の指標を用い推計することが妥当であると考えております。とはいえ、観光がどのように市民に対して効果があるかわからない水物では、理解を得ていくことは難しいでしょう。観光で住民福祉の向上を目指すという目的意識を持たなければ、そしてその目的意識を根気強く市民に伝えていかなければ、市民が実感ができる観光、市民が応援団になる観光振興の実現は遠のいていくのです。行政でありますから、観光で住民福祉の向上を目指すという目的意識は、言うまでもなくあるものと思っておりますし、ご答弁からも読み取れております。それを、市民に伝えていくことが、市民が実感ができる観光の第一歩です。食・農・れんが・住環境など、江別には多様な魅力があることで、多様な人に愛される可能性を持っています。しかし、観光先進地ではない江別市は、他のまちが言っていることを言っても勝てません。差別化は、競争戦略における弱者戦略の基本です。そして、他のまちが言うことができない強みの一つが、江別市に集う12万人という市民の質量ではないか。この市民を味方につけることが、江別市における観光政策の大きな力になるのではないでしょうか。
項目1では、観光による産業振興という観点から、交流人口を定住人口につなげることへの政策効果をお答えいただきました。一方、定住人口の拡大は、観光による税収増という観点でも、江別市の市税構成を見るからにも有効であり、江別市の地域特性を鑑みれば、観光により拡大した交流人口を、定住人口につなげることにより、税収等の歳入を増やす取り組みは効果的であると分析するものです。そのうえで、観光振興をすることにより、交流人口が増え、そのいくつかは定住人口につながり、それら市外の人の消費が税収となって市民生活に還元されるという政策・メリットを市民に伝え、理解を得ていき、観光振興の味方になってもらうことこそ、江別市の観光政策に欠かせない方向性だと思うものですが、この点についてお考えをお聞かせいただきたく思います。以上、再質問になります。
三好昇市長
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再質問にお答え申し上げます。
市民のための観光政策について、市民一人一人が応援団になるような、そういう理解をされるような政策をということでございますが、議員御指摘のとおり、江別市民一人一人が観光振興の味方になっていただくことは、江別を訪れた観光客へのおもてなしの面や交流人口の拡大を進める上で重要なことと認識しております。そのための対応策としまして、江別の応援団であります江別PRサポーターえべおこやえべつ観光特使に応募する方がふえており、さらには、都市と農村の交流を目指す市民活動団体、直売所を開設する江別の食と農の魅力を発信する農業者など、江別の観光を皆で後押しするという形も少しずつできているのではないかと思っております。これらのこともありまして、地方創生が目指しております、人が集まることで地域が活性化することを実感する市民の方もふえているのではないかと考えております。これらの進め方は、先ほどもお答え申し上げましたが第6次江別市総合計画、さらには、江別市まち・ひと・しごと創生総合戦略による成果の一つであろうと考えておりまして、その中で、その都度機会を捉えてこれらの状況を市民に周知することが必要であろうと考えております。さらに、今後は人が集まることで、地域が潤い、地域経済の発展につながることを広く市民にPRしていく。そのようなことを現在策定中の江別市観光振興計画の中に盛り込むことも一つの方策だと考えておりまして、そのような形の対応を検討してまいりたいと思います。以上でございます。
堀直人
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「人が集まることで、地域が潤い、地域経済の発展につながることを広く市民にPRしていくことを現在策定中の『江別市観光振興計画』に盛り込む予定」とお答えいただきました。ぜひとも、さまざまな角度から立体的に、虫の目と鳥の目の両方からつぶさに観察し、江別だからこそできる、市民が観光の恩恵を実感できる、固定概念に縛られない、従来型ではない、地域特性を戦略的に編集した観光振興計画を策定していただきたいと思います。今回は、観光振興を税収につなげ、市民生活に還元することで、市民を観光の応援団にする。つまりは生産・分配・再生産という好循環をつくる政策について、質問させていただきました。それは、税収という回路だけではなく、ご答弁にもあった雇用ですとか、まちが魅力的になっていく創業や企業などの誘致ですとか、それが住環境の向上にもつながっていくというように、非常にさまざまな領域に波及していくものです。国土交通省の観光政策審議会による答申「21世紀初頭における観光振興方策」のなかで、「21世紀初頭の観光振興を考える基本的視点」として3つ挙げられているうち、「住民と旅人とが互いに交流しあう観光の振興」では、観光客と地域住民がともに楽しむことの必要性が述べられております。江別市に住む人と観光客の人が同じものを魅力的と感じる、それを共通言語にして交流する、こうした観光まちづくりの方向性です。今まで、観光というのは非日常を指していましたが、近年は観光と日常の境目があいまいになり、MICEもそうですが、観光なのか仕事なのか、はたまた観光なのか買い物なのか、観光なのか通院なのかなど、その境界が継ぎ目なくなっております。まして、札幌市という大都市をとなりに持つ江別市においては、なおのことそれは顕著となって表れるものです。札幌市に住む方が買い物のついでに観光をする、こうした「ついで観光」、「日常以上観光未満」の消費行動が、江別市においては需要な視点であり、定住人口にも結びつきやすい顧客ですので、観光を狭義に捉えるのではなく、あらゆる可能性との連携を想定し、観光振興計画の策定を、そして今後の観光政策を進めていただけたらと思っております。
わたしからは、以上になります。
※この全文は、音声等をもとに起こしたものです。