平成28年第3回定例会:一般質問

堀直人
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ただいま、議長より発言の許可をいただきましたので、通告に従い質問させていただきます。

今回の質問では、江別市におけるマーケティング戦略について、江別市の観光行政について、この2件についてお聞きしたいと思います。それでは1件目、江別市におけるマーケティング戦略についての質問に入らせていただきたいと思います。

値決めが、マーケティングである。わたしは、そのように考えております。よって、市場から判断して価格設定をするというよりは、規則やバランスを根拠に価格設定をする傾向にある、あるいは競争と採算性が本分ではない行政には、マーケティングはなじまないという整理も一定は理解しているものであります。しかし一方で、人口の減少、生産の縮小、こうした時代の局面にあって、ただものをつくれば売れる時代の終焉が訪れたように、行政においても適切に事務を行なうだけで選んでもらえる時代は終わりました。なぜ、値決めこそマーケティングであるかと言えば、価格設定の過程において、「われわれは市場において、どれだけの価値があるのか」という調査。「われわれは市場に向けて、どういう価値を顕現させることで選ばれるのか」という分析。「われわれが市場を凌駕するための、そのビジネスモデルを支援する価値と価格の差はどのくらいなのか」という戦略などを、否が応にも考えざるを得なくなるからです。値決めは、その発露にすぎません。人口減少時代は、地域間競争時代です。とりわけ、市外に向けてアプローチする部門においては、誰に、つまりターゲット。何を、つまり売りや資源。どうやって、つまり手段、これはシティプロモートや観光が果たすところが大きいです。そしていくらという、価値づけやインセンティブ設計をパッケージで立案しなければなりません。2014年から開始しているシティプロモートに関しても、その前提となる包括的かつ体系的なマーケティング戦略が不在では、効果的かつ長期的な展望に基づいたシティプロモート、それによって構築されるイメージづくりを推進することが困難であるのは論を俟ちません。シティプロモート事業も一定程度の検証可能な取り組みを経ているため、そこから得られる研究に基づいて、マーケティング戦略の策定に向けた事業に取り組みを発展させる期も熟しつつあるように感じられます。そうしたことから、この件につきましては、5項目について質問させていただきたいと思います。

項目1、シティプロモートのターゲット設定に応じた展開についてです。平成27年第2回定例会の一般質問では、「市政運営における最大の課題を少子高齢・人口減少への対応とし、なかでも子育て世代の転入超過という人口動態の特徴から、子育て支援、教育環境の充実を図り、選ばれるまちづくりを進めてきていることから、シティプロモートの推進においても、子育て世代をターゲットとしている」という主旨のご答弁いただきました。このような方針を表明されたのち、今までどのような事業を実施されたのか、また今度どのような事業を実施していくのか、ターゲット設定に応じた江別市のシティプロモートの展開についてお答えいただきたいと思います。

項目2、シティプロモートの現況と今後についてです。2014年6月6日に、江別シティプロモート推進協議会が発足したのち、市と協議会が中心にとなり、シティプロモートを推進してきたことであろうと思います。3年目という節目を迎え、今までの取組の評価、また現在の状況、そして今後の展開についてお答えいただきたいと思います。

項目3、地域ブランド構築の現況と今後についてです。江別市のブランド構築についての取組として、平成27年第2回定例会の答弁では、「江別シティプロモート推進協議会を立ち上げ、市民や企業と行政とが一体となったプロモーション活動」について、「農畜産物などの個別ブランドの確立」について、「民間放送局への職員の研修派遣」についてを挙げられていますが、そうした取組の結果、現状どのようなブランド構築がなされ、今後どのように江別市の地域ブランド構築を進めていくおつもりか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

項目4、地域ブランド構築のおけるクリエイターの活用についてです。近年、地域ブランドの重要性が広く語られておりますが、「別冊 Discover Japan『地域ブランドクリエイターズファイル』」では、「よそもの・わかもの・ばかもの」に加えて、「ほんもの」の必要性を説き、クリエイター、すなわちデザイナー、ライター、カメラマン、イラストレーターなどの活用を重要視しています。平成27年第2回定例会の「テーマカラーやキャッチコピー等を活用した江別市の良質なイメージ喚起のための施策について」という項目の質問に対しては、「江別シティプロモート推進協議会における議論などを踏まえ、江別市にふさわしい手法を検討してまいりたい」とのご答弁でしたが、その後どのような手法がふさわしいとされたのか。そして今後、先述のとおり中途半端なものではなく、本物を創り出せるクリエイターの活用が必要と考えるものですが、どのようにお考えかお答えいただきたいと思います。

項目5、マーケティング担当部署の設置についてです。『シティプロモーション – 地域の魅力を創るしごと』 の著者である東海大学文学部広報メディア学科教授の河井孝仁氏は、「シティプロモーションの現状と今後への期待」と題した2009年の日本広報学会研究発表のなかで、シティプロモーションの成功要素として、①地域経営の視点、②戦略の必要性、③誘発力を基礎とした編集、④マーケティングの発想、⑤推進体制の確立の5つを挙げています。シティプロモートは、ただやみくもに情報発信をすえばいいわけではなく、経営の視点と戦略、そしてマーケティングなくして、シティプロモートも、地域ブランド構築も確立しえないのです。さらに時代の環境変化から、シティプロモートに限らず、行政のあらゆるところにマーケティング発想、つまり「必要な人に/必要なものを/必要なだけ届ける仕組み」の構築が迫られています。また、マーケティング分野でよく言われるところの、何をつくるか、あるいはつくってしまったものをどう売るかというプロダクトアウトと呼ばれるものに対して、何が必要とされているのかという相手目線の商品開発をマーケットインと言います。相手目線、つまり行政目線ではなく市民目線という意味でマーケティング思考により施策立案をすれば、施策立案者が仮に利用者だとしたときにも必要と感じられることを実施すれば、市民福祉の向上という行政の恒常的な全体への奉仕の遂行にも役立つものであります。このように地域経営の視点から、包括的かつ体系的なマーケティング戦略が行政運営に対しても要請されており、江別市においてもマーケティング担当部署が不可欠ではないでしょうか。もちろん民間企業などで行なわれているマーケティングの考え方が、そのまま行政に当てはまるものではないですが、江別市のように大都市郊外という条件を持つ流山市では、マーケティング課を設置し、長寿社会を支えるDEWKs(デュークス)と呼ばれる共働き子育て夫婦にターゲットを絞ったマーケティングに基づくプロモーションを実施することで、平成17年と平成23年では、人口が12,000人増加。最大のボリュームゾーンも、「60~64歳」から「35~39歳」にシフトするなど、着実に成果を挙げております。前述のように、地域間競争時代という環境変化にともない、自治体の生存戦略を明確にすることが急務とされておりますが、その戦略策定を支援するマーケティング担当部署が必要性についてお答えいただきたいと思います。

以上が、件名1、江別市におけるマーケティング戦略についての質問でした。続きまして、件名2、江別市の観光行政についての質問に入らせていただきたいと思います。

観光が、市民福祉を向上させるのか。観光地ではない江別市においては、なおのことそうした根幹から考察していく必要があります。そもそも江別市に、観光は必要なのか。他のまちがやっている、国が推進しているからではなく、江別市が観光に取り組む必然性がなければ、施策に強度が足りないと言えます。観光で歳入を増やし、市民に還元いていく。この視点が、観光行政には欠かせません。その点は、今後の観光振興計画の策定に伴ない、明確かつ具体的に江別市の観光行政が方向づけられるものと理解しております。江別市の観光行政は、観光地のような旅行産業の振興とはならないでしょうし、物産は大事です、大事ではありますが、小さなまちのように名産・特産品のセールスだけでは、江別市の根本的な地域経営の安定が図られるものではなく、その先の波及効果が重要となるでしょう。今までにない観光振興を、江別市はやらなければなりません。観光で人口減対策を行なう。観光から転入超過を目指す。これが、江別市の優位性などの地域特性を踏まえた観光戦略ではないでしょうか。一般的な観光施策の歴史は、観光産業の振興、観光と物産の融合、観光の集客機能を生かした産業振興や地域経済活性化と辿っておりますが、その先にある、観光産業集積地として発展してきたまちではない地域でも使える「江別モデル」とも言うべき観光施策を、まったく新しい発想の創造していくことが、江別の持続可能なまちづくりにつながると、わたしは考えております。そうした観点から、この件につきましては、6項目について質問させていただきたいと思います。

項目1、交流人口を定住人口につなげるための戦略についてです。観光にいらした方々は、居住見込み顧客の方々です。単に旅行顧客と捉えるのではなく、次のステップになる顧客であるという認識が重要です。転入促進施策を打つうえでも、すでに接点があり、江別市のなにかになんらかの関心を持っているわけですから、アプローチの時間的・資金的コストを抑えられるターゲットであり、とりわけ住宅地が広がる江別市においては、観光の集客力を生かした転入促進、つまり交流人口を定住人口につなげるための戦略が必要であると言えます。そのため、江別市における観光マーケティングは、新規旅行者の方々に物産の購入をしてもらい、その物産を低額消費から高額消費と移行するよう付加価値を高め、リピーターになっていただくことから市内への回遊を誘導し、ファンになっていただくことにより地域のヒト・モノ・コトとの関係構築を促進し、最終的には不動産を購入してもらい定住していただくというゴールが、江別市の経営を考える上での観光施策のロードマップになると考えるものですが、観光振興を進めるうえで、転入促進に結びつけることをどのように考えるかお答えいただきたいと思います。

項目2、観光案内所の機能拡張についてです。平成27年第4回定例会の一般質問で、観光案内所を最大限まちづくりに生かすには、「①業務機能の拡張、②案内範囲の拡張することが必要」とお話しさせていただき、「観光に関する情報が主なものとなるが、市民や観光客等の要望などに合わせて段階的に業務の拡大について検討してまいりたい」という主旨のご答弁をいただきました。市民や観光客等の要望とお答えいただきましたが、そうではなく、観光案内所の業務拡大は地域経営を考えた上で、潜在ニーズを掘り起こし、政策的に仕掛けていくものではないでしょうか。最初は民間のプラットフォームを活用することになると思いますが、いずれは独自に市内のグリーンツーリズムなどを手配する窓口として機能すること。転入には住居と仕事がポイントになり、特に大都市至近の江別においては住居が最重要であることから、不動産や住環境情報を提供すること。これらを仕掛けていくことが、観光案内所を最大限に活かすこととなるものと考えますが、観光案内所の業務拡大についてお答えいただきたいと思います。

項目3、アンテナショプにおける観光と物産の役割分担による相乗効果創出についてです。江別アンテナショップGET’Sの利用状況が、平成28年4月の1ヶ月間において、観光案内が34件に対し、物産販売が8467件であるということが、5月12日の経済建設常任委員会で明らかになりました。観光と物産にはまったく異なるノウハウが必要であり、現在のところ観光と物産が一緒くたに運営されていることが、改善すべき点と考えられます。観光案内機能が付加したことにより、江別アンテナショップGET’S管理運営事業という委託がはじまったにも関わらず、観光案内対物産販売が34件対8467件というのは機能不全の状態です。こうなった以上、江別アンテナショップGET’Sは、観光は観光のプロフェッショナルに、物産は物産のプロフェッショナルに分割して運営する枠組みに再編し、幅広い担い手へ参画の門戸を開き活力を募るなど、運営手法の見直す必要性が高まっていると思われますが、お考えをお答えいただきたいと思います。

項目4、観光の評価指標についてです。施策を展開するにあたり、その評価をどのように行なっていくのか。戦略を確固たるものにするためには、そうした評価指標も重要な要素です。観光による稼げる地域づくりという観点では、観光入込客数、つまり集客数は目的ではなく、目的に至るまでの補助的な指標です。よって観光入込客数にとどまらない、入込のその先にある、観光によりもたらされた集客を、観光の地域価値向上機能を活かして産業振興や転入促進につなげた成果、さらにはその成果から顕現する観光による税収の高まりを評価指標とすべきです。そうしたとき、市内総生産額がいいのか、それとも市民所得がいいのか、または特産品事業化件数がいいのか、はたまた地価上昇率がいいのか、それらさまざまなすでに蓄積されたデータから評価可能です。さらには、観光の評価手法として、たとえばトラベルコスト法というものがあります。アンケート調査によるものとすれば、観光入込客数のような根拠の曖昧な指標にはなりませんし、出発地・訪問回数・訪問人数・旅行費用をもとに評価するため、数だけでなく質を測ることが可能であり、旅行者の江別への愛着というようなものも観察できることから、産業振興や転入促進につなげるにあたっても生きた評価指標として活用できる蓋然性が高いです。このように観光入込客数以外に、観光を評価する手立てはあるものと考えられますし、観光入込客数以外に、観光を評価することが必須と考えるものですが、いかに観光施策の成果を測っていくのか、そのお考えをお答えいただきたいと思います。

項目5、観光による稼げる地域づくりを推進する実施主体についてです。観光が市民生活の向上に役立つという市民理解を深めるという意味で、観光振興計画策定のプロセスが観光に対する市民の参画感醸成につながるのであれば、計画策定に対して3年間を費やすことは丁寧であると感じているところです。また運営体制についても、平成30年度を待って検討を開始するというのではなく、計画と同時進行で検討されていくものと経済建設常任委員会の質疑から把握しているものです。計画という何をやるかの検討だけでなく、実施主体という誰がやるかの検討を同時に進めなければ、事業というどうやってやるかの取組が明確にならず、実現可能性が乏しくなってしまう恐れがあります。計画が絵に描いたもちにならないよう、どうやって計画に基づく事業を運営をするのか、実施主体は主だって観光のどの部分やどの事業を担当するのかという役どころを明確にし、生きた計画づくりをしていただきたと思います。その上で、江別においてはどのような運営主体の機能が最適なのかについて、お聞きしたいと思います。この、観光による稼げる地域づくりを推進する実施主体。これからはじまる観光振興計画策定事業も、地方創生の交付金が活用されていますが、地方創生の流れのなかでは、デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーション、あるいはデスティネーション・マーケティング・オーガニゼーション、その頭文字を取ってDMOと呼ばれています。デスティネーションというのは、観光目的地という意味になりますが、江別は観光地ではありませんので、タウン・マネジメント・オーガニゼーション、いわゆるTMO的な、あるいはまちづくり会社的な要素を色濃く反映せざるを得ない地域特性にあると分析します。つまり江別に適した観光による稼げる地域づくりを推進する実施主体は、観光誘客や商社機能と不動産情報発信や商店街活性化機能を組み合わせた、観光振興団体とまちづくり会社を兼ね備えたような、観光まちづくり会社というような実施主体が望ましいと考えるものです。観光庁のウェブサイトによると、DMO推進の皮切りとなる「日本版DMO候補法人」の登録を行なっている地域DMOは、平成28年8月31日現在で52件あり、江別市の観光振興の特殊性に合った観光分野だけではない、たとえばまちづくり会社などによる登録もあります。こうした、先行事例を鑑みて、江別市の観光振興を推進する運営体制についてのお考えをお聞かせください。

項目6、市外に向け稼ぐことを担当する部局の設置についてです。平成27年第4回定例会の一般質問で、観光マーケティングに関しては、「EBRIを訪れた方からのデータ収集や分析、さらにビッグデータの活用など、江別市におけるマーケティングに基づく観光振興の取り組みを推進する」と、観光とシティプロモートの関連では、「シティプロモートと観光は、共通する部分が多く、幅広く連携していくことが重要である」という主旨のご答弁をいただきました。観光とシティプロモート、ひいてはそれらの基礎となるマーケティングは、まったく同じ目的ではないものの、非常に補完し高め合う関係にあります。そしてこれら部門の共通点は、江別市の外に向けて取り組むことが主たる業務であるということです。主に市民に向けて取り組む行政のなかでは、ある種、特殊とも言えるこれら業務は連帯して取り組んでこそ効果的であり、これら類似の業務のなかで、こちらは交流人口を目指します、あちらは定住人口を目指します、こちらは物産です、こちらは住環境ですということでは、そのあいだにある見込み顧客や潜在ニーズを取りこぼしてしまいますし、重複した取組による非効率な事業実施になる恐れがあります。そうならないためにも、市外に向け稼ぐことを主に担当する部局の設置が最適と考えるものですが、お考えをお聞かせください。

江別市の観光行政については以上です。これをもって、私からの1回目の質問とさせていただきます。


三好昇市長
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堀議員の一般質問にお答え申し上げます。

江別市におけるマーケティング戦略に関連しまして、まず、シティプロモートのターゲット設定に応じた展開についてでありますが、第6次江別市総合計画では、四つの未来戦略の一つとしまして、えべつの魅力発信シティプロモートを掲げ、江別市のすばらしさや魅力を多くの人に知ってもらうことで定住人口や交流人口の増加につなげていくことを目指すこととしております。また、市政運営における最大の課題を少子高齢・人口減少への対応としまして、子育て支援、教育環境の充実を図り、選ばれるまちづくりを進めていることから、シティプロモートの推進に当たりましては、子育て世代をターゲットとしているところであります。このターゲットに対応した事業としましては、これまで、良好な住環境をPRする冊子えべつのじかんを札幌市内の保育園等に配布したほか、札幌市内で配布されているフリーペーパーに江別の住環境や教育環境をPRする記事を年2回掲載しております。また、スマートフォン等の利用者が多い若年層や子育て世代に対応し、インターネットを活用した情報発信の仕組みづくりを積極的に進めるとともに、北海道情報大学との協働でテーマごとのPR動画、江別15秒CMを作成し、多くの方に閲覧いただいているところであります。今後におきましても、ターゲットに応じたさまざまな手法で情報発信に取り組むなど、推進組織であります江別シティプロモート推進協議会の論議などを踏まえながら、子育て世代を意識したシティプロモート活動を進めてまいりたいと考えております。

次に、シティプロモートの現状と今後についてでございますが、えべつ未来戦略の一つであります、えべつの魅力発信シティプロモートでは、江別市のよさが道内外に広く認知されるため、まちの魅力を市内外へ効果的・積極的にPRしていくこととしております。このため、平成26年6月に、推進組織であります江別シティプロモート推進協議会を立ち上げ、市民や企業と行政が一体となってプロモーション活動に取り組んでいるところであります。その協議会におきましては、これまで市民や団体を初めとする情報発信の担い手の裾野を広げ、市民との共感を広げる活動を中心に行ってきたことにより、インターネットを活用して市民みずから情報発信する市民ブロガーの活動やSNSといったソーシャルネットワーキングサービスでの情報交流が盛んになるなど、多様な担い手づくりが進展してきているものと認識しております。また、協議会の論議などを踏まえまして、インターネットや雑誌、イベントなどさまざまな機会を活用したPR活動が実施されてきたところであります。現在、協議会における論議では、江別市の持つ多様な魅力やイメージをさまざまなターゲットにどのように届けるかが課題と捉えておりまして、今後、市外のターゲットへ江別の魅力を効果的に伝えていくための手法や江別市のイメージづくりに取り組んでいく方針としておりますことから、市といたしましても連携してその取り組みを進めてまいりたいと考えております。

次に、マーケティング担当部署の設置ということでございますが、シティプロモーション活動においては、提供する価値を最も必要とするターゲットに絞り込んで、最大の効果を上げるプロセスとしましてマーケティングの考え方を取り入れることについては、その必要性を認識しているところであります。現在、シティプロモートの推進に当たりましては、市民や企業、大学などで構成する江別シティプロモート推進協議会と一体となって活動しているところでございまして、今後とも、民間の企業活動で行われているマーケティングの考え方も取り入れながら活動を進めてまいりたいと考えております。そこで、御質問のマーケティング担当部署の必要性につきましては、市全体の政策展開の中で、組織のあり方を含め、必要な体制について研究してまいりたいと考えております。

次に、江別市の観光行政に関連しまして、観光による稼げる地域づくりを推進する実施主体についてでありますが、現在、市では新たな観光振興計画の策定を目指し、今年度は地域資源の調査・分析、基礎資料の作成を計画しております。平成29年度はその基礎資料をもとに、江別に合った、江別ならではの観光戦略、マーケティング及びブランディング戦略のほか、地元特産品等の販売PR手法の構築を含む観光振興計画の策定を予定しております。そこで、計画実施主体及び運営主体につきましては、その内容や方向性をもとに検討することとしております。いずれにいたしましても、計画の実施主体及び運営主体につきましては、これから策定される計画理念に基づきまして、最も効果的に運営できる団体について、選出方法も含め検討してまいりたいと考えております。

次に、市外に向け稼ぐことを担当する部局の設置についてでありますが、平成26年度に企画政策部にシティプロモート担当を、平成28年度には経済部に観光振興担当を設置し、全庁的な取りまとめをしながらシティプロモート推進や観光振興に取り組んでいるところであります。今年度は、全市的なイベントであるやきもの市やまるごと江別でも経済部と企画政策部が役割分担しまして事業の推進に努めたところであります。そこで、御質問の市外に向け稼ぐことを主に担当する部局の必要性につきましては、市全体の政策の展開の中で、組織のあり方も含め、必要な体制整備について研究してまいりたいと考えております。

私からの答弁は以上でございますが、このほかの質問につきましては、企画政策部長ほかをもってお答え申し上げます。


北川裕治企画政策部長
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私からは、江別市におけるマーケティング戦略についてのうち、地域ブランド構築の現況と今後についてほか1件について御答弁申し上げます。

初めに、地域ブランド構築の現況と今後についてでありますが、地域ブランドは、その地域に存在する自然、歴史・文化、食、観光地、特産品、産業などの付加価値を高め、他の地域との差別化を図ることにより、市場での信頼を得るものと認識しております。さらに、地域ブランドには、単に商品が売れるだけでなく、江別市のイメージを高め、さまざまな波及効果を生むことを期待するものであります。市では、これまで小麦を初めとする農畜産物においてブランド化を進めてまいりましたが、今後、定住人口の増加につなげていくためには、地域ブランドの存在により、江別市そのものに興味を持ってもらえるような効果的なPRの手法を工夫しながら、ブランド構築を進めていく必要があるものと考えております。現在、江別市においては、高品質な江別産小麦を使ったパンやスイーツの店舗がふえてきているほか、健康志向の消費者に向けた食品がヘルシーDoの認定を受けるなど、食を中心としたブランド構築が進みつつあります。こうした動きを、さらに江別市のイメージアップにつなげられるよう、江別シティプロモート推進協議会とも連携しながら効果的なPRなどに取り組んでまいります。

次に、地域ブランド構築におけるクリエーターの活用についてでありますが、シティプロモーション活動を行うに当たって良好なイメージを受け取ってもらうには、言葉やデザイン、発信媒体の選び方など、さまざまな専門分野の力が必要になってくると考えられますことから、デザインなどの創作活動に携わるクリエーターの視点を取り入れることは有効な取り組みであると考えております。これまでも、市の主催するイベントにおいて、市内出身の漫画家やデザイナー、北翔大学芸術学科の学生の活用を図ってきたほか、江別シティプロモート推進協議会の活動では、デザイナーをゲストに招いて議論に参加していただくなど、市内のクリエーターとの連携を図ってきたところであります。今後におきましても、江別市の魅力を正しく、効果的にPRするふさわしい手法を見出していくため、専門の能力を持つクリエーターの活用を図ってまいりたいと考えております。以上でございます。


後藤好人経済部長
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私からは、江別市の観光行政についての御質問のうち、交流人口を定住人口につなげるための戦略についてほか3件について御答弁申し上げます。

初めに、交流人口を定住人口につなげるための戦略についてでありますが、まずは江別に興味を持ってもらい、江別に来てもらい、知ってもらうことから始め、交流人口をふやすことが第一であると考えております。平成20年以降10月1日現在の住民基本台帳の人口比較では、市の人口が減少しているにもかかわらず、14歳以下の年少人口と30歳代の人口が社会増加していることから、子育て世代が転入してきていると考えられます。こうした状況から、第6次江別市総合計画えべつ未来づくりビジョンでは江別が持つ優位性を生かし、子育て世代の転入促進を目指しているところであり、これまでも子育て世代の転入促進へ向けて、えべつコレクションやえべつのじかんなどの冊子を札幌市内の幼稚園や保育園に送り、江別の魅力発信に努めているところであります。そこで、子育て世代を定住人口へ結びつけるため、子育て支援や教育の充実、就労支援の取り組みなど、子育て世代をターゲットにした当市の優位性をPRしているほか、今年度は、即効性のある施策として住宅取得支援に取り組み、市外からも多数の申し込みがあり、定住人口の増加につながっていくものと考えております。いずれにいたしましても、どのような交流人口増加施策が定住人口増加に有効かを見きわめながら取り組みを進めてまいります。

次に、観光案内所の機能拡張についてでありますが、観光案内所には訪問先の地理に不案内な観光客が安心して散策できる情報や見る、食べる、体験するなど地域で楽しめる情報の提供が求められていると考えております。例えば、公共交通の情報、宿泊、飲食などの情報、特産品、イベント、スポーツや自然散策の観光情報が求められる情報であると認識しております。市では、JR駅を中心としたウオーキングマップの配布、アンテナショップでは観光パンフレットの配置や市内のイベント情報などの提供、観光客からの各種の問い合わせ対応を行っております。さらに、7月からは市内周遊イベントの参加受け付け場所としたほか、来年4月にオープン予定の江別市都市と農村の交流センターと連携し、市内グリーンツーリズムの情報なども発信する予定であります。いずれにいたしましても、観光客のニーズ把握に努め、住環境情報など、発信する情報の種類、量の拡充を図ってまいりたいと考えております。

次に、アンテナショップにおける観光と物産の役割分担による相乗効果創出についてでありますが、現在、江別アンテナショップGET’Sの管理運営につきましては特定非営利活動法人に委託し、常時1名以上の案内者を配置して観光情報の発信や姉妹都市及び友好都市の特産品などの情報提供のほか、各市の特産品を販売しており、本年4月から観光案内と物販の一体的な運営を開始したところであります。江別アンテナショップGET’Sにおける物販につきましては、江別市、姉妹都市及び友好都市の特産品に限り販売を受託者の自主事業として認めており、特産品の購入をきっかけに各市に興味をもってもらい、知ってもらう観光情報提供の一環として位置づけております。今後におきましては、観光案内と各市特産品の販売のあり方につきまして、事業評価をしながら適切な運営方法を検討してまいりたいと考えております。

次に、観光の評価指標についてでありますが、現在、国が実施している観光統計には、旅行・観光消費動向調査、宿泊旅行統計調査、訪日外国人消費動向調査、観光地域経済調査のほか、国が基準をつくり、各都道府県が実施し、国が取りまとめている共通基準に基づく観光入り込み客統計があります。観光入り込み客統計は、都道府県ごとの観光入り込み客数、観光消費額単価、観光消費額を把握するために平成22年から実施されており、共通基準に基づく調査のため、地域間で観光に関する現状や動向、経年変化を比較することが可能なことから、観光振興を評価する上で適切な指標であると考えております。なお、市内経済との関連につきましては、必要に応じて、江別市産業連関表などを市内経済の特徴把握や観光への波及効果の分析に活用してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても、観光の評価指標につきましては、観光振興に関する戦略や施策を立案する際の基礎として活用することが可能な観光入り込み客統計を利用してまいりたいと考えております。以上であります。


堀直人
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ご答弁ありがとうございました。それでは、2回目の質問に入らせていただきます。まず1件目、江別市におけるマーケティング戦略についてです。

項目1、シティプロモートのターゲット設定に応じた展開について、再質問させていただきます。平成27年第2回定例会の一般質問で、「具体的なターゲット設定を、世代、居住、趣向、ライフスタイルなどの観点からお答えいただきたい。その際、『えべつ未来戦略』で目的とされている、定住人口の増加と交流人口の増加では手法も変わってくるため、それも含めて目的別にターゲット設定をお答えいただきたい」という主旨のお話させていただきました。このときのご答弁では、「子育て世代をターゲットとしている」ということでしたが、こうした広範囲でぼんやりと的を狙うと、なかなかターゲットに的中できないものです。やはり大まかな方針だけではなく、目的別に具体的かつ明確なターゲットを設定しなければ、効果的な事業実施が困難であると考えることから、「子育て世代」という大きな方針のもと、枝分かれする個別具体的なターゲット設定について、お答えいただきたいと思います。

項目2、シティプロモートの現況と今後について、再質問させていただきます。平成27年第2回定例会の一般質問では、「ターゲットとニーズを意識した取り組みを進めていく」という主旨のご答弁いただきました。市民との協働により進めていくという方針も、持続可能なまちづくりを進めるうえで重要であると強く同意します。しかし一方で、協議会に委ねて推進していく現在の手法と、ターゲットとニーズを意識して取り組むという戦略的な手法はミスマッチを起こしかねません。つまるところ、市民の主体的な取り組みを生かす先にあるものと、ターゲットとニーズを意識した取り組みの先にあるものでは、必ずしも解が合致するとは限らないのです。よって、市民活動の活性化を仕組み化し、市民が自発的にやりたいことをやる実践的なシティプロモートと、成果主義でターゲットとニーズを意識し、やるべきことをやる計画的なシティプロモートを切り分けて構想し、担い手と手法が不一致にならないために、協働という名の丸投げにならないために、市としてのしっかりとした体系的な戦略を持つべきと考えるものですが、そのことについてお答えいただきたいと思います。

項目3、地域ブランド構築の現況と今後について、再質問させていただきます。平成27年第2回定例会「地域課題解決と地域ブランド形成およびシティプロモートとの相関関係について」の項目で、「地域ブランド構築によるシティプロモートや地域課題解決の好循環を生み出すには、20年後、30年後を見据えたビジョンが必要であり、ゴールとなる未来から逆算し必要な施策を考えずして、本当に正しい施策が実施できるのか」という主旨の質問をさせていただきました。これに対し答弁では、「えべつ未来戦略の取り組み期間である5年間に重点的・集中的に取り組む」として、長期的なビジョンについて触れていただけませんでした。平成27年第2回定例会の一般質問で挙げた東川町・上勝町といった先行事例から判断しても、宇都宮市の「100年先も誇れるまちを、みんなで」というスローガンのもと実施されている「宇都宮プライド」という地域ブランド構築のためのプロジェクトを観察しても、やはり地域ブランド構築、またそれによるシティプロモートや地域課題解決の好循環を創出するためには、長期的ビジョンが必要であることを痛切に感じます。改めて、地域ブランド構築における長期的なビジョンの必要性について、ご見解をお聞かせいただきたいと思います。

項目4、項目5については、要望とさせていただきます。地域ブランド構築におけるクリエーターの活用については、「江別市の魅力を正しく、効果的にPRするふさわしい手法を見出していくため、専門の能力を持つクリエイターの活用を図ってまいりたい」とのご答弁から、共通認識が形成されていると感じているものです。今後に関しましては、より効果的なクリエイターの活用手法をもって、推進していただきたいと思います。次にマーケティング担当部署の設置についてですが、「市全体の政策の展開の中で、組織の在り方も含め、必要な体制整備について研究してまいりたい」とのこと理解しました。「最も必要とするターゲットに絞り込んで、最大の成果を上げるプロセスとして、マーケティングの考え方を取り入れることについては、必要性を認識している」とのご答弁ですので、引き続き今後の推移を見させていただきたいと思います。繰り返しになりますが、持続可能なまちづくりを仕組みにするためにも、マーケティング戦略の重要性は高まります。引き続き、江別市に適したマーケティング戦略を調査研究していただきたいと思います。

以上1件目、 江別市におけるマーケティング戦略についてした。続きまして2件目、江別市の観光行政についてです。

項目1、交流人口を定住人口につなげるための戦略について、再質問いたします。交流人口を定住人口につなげるといっても、そう一足飛びに行くほど簡単なことではありません。よって、交流人口を定住人口のあいだを埋める手立てが必要あり、関係人口を増やすことが、具体的な施策として有効と考えます。関係人口を増やすには、移住体験や住むことに近い宿泊施設であるゲストハウス事業、逆に旅行をするように住むことや二拠点居住を可能にするシェアハウス事業、江別の暮らしや住環境を知ってもらう移住体験ツアー、ふるさと納税の拡大、他市町村に住みながら江別のまちづくりや市民活動への参画を促進することなどによって、きっかけを創出し、関係人口拡大の実現につなげていくことになろうかと考えますが、交流人口を定住人口につなげるための関係人口の拡大についてどうお考えか、お答えいただきたいと思います。

項目2、項目3、項目4、項目5、項目6については、要望とさせていただきます。観光案内所の機能拡張については、「住環境情報など発信する情報の種類・量の充実を図ってまいりたい」と、住環境情報の提供について言及していただき、観光案内所の機能拡張について前回の一般質問へのご答弁より進展がありました。今後は市内不動産情報の一括した提供や、空き家バンクなどが整備されることがあるとしたらそれらとの連携など、観光案内所を通した交流人口を定住人口につなげる取り組みを、より進展させていただきたいと思います。次に、アンテナショップにおける観光と物産の役割分担による相乗効果創出についてですが、「事業評価をしながら適切な運営方法を検討してまいりたい」とのご答弁から検討目処について把握しましたので、今後の経過を見させていただきたいと思います。観光分野、物産分野、それぞれに集中して取り組むことこそ、相乗効果を産み、真に観光と物産の融合を果たすことになりますので、政策的な運用が可能な江別アンテナショップGET’Sを通して、効果的な観光を手段とした産業振興を行なっていただきたいと思います。次に、観光の評価指標についてですが、観光入込客統計ということについて、観光庁が出しております「観光入込客統計に関する共通基準」を見ますと、調査手法は「観光地点及び行祭事・イベント名簿」を整理し、「観光地点等入込客数調査」を実施するとあり、その名簿の整理は、非日常利用が多いこと、観光入込客数が適切に把握できる地点であること、前年の観光入込客数が年間1万人以上、若しくは前年の特定月の観光入込客数が5千人以上であることを要件としています。つまり、市内の主要な施設やイベントなどに対して調査しているものであり、江別市全体の観光動態を把握できるものではありません。さらにたとえば温泉地であれば、目的地が明確であり、こうした調査により観光実態把握の精度が高まるものでしょう。しかし江別市の特性を鑑みると、こうした画一的な統計以外に、独自の指標を持つことが必須であると言えます。観光というものは、非常に移ろいやすい分野です。観光ビッグデータの活用、GPSを利用した観光行動の調査分析など新しい手法を取り入れつつ、江別市に適合した評価指標を開発しつつ、使える観光施策の評価と、それを通じた検証、改善を行なっていただきたいと思います。次に、観光による稼げる地域づくりを推進する実施主体についてですが、観光振興計画策定に基づき検討されていくということは、そのとおりであると同様に考えますので、策定経過を観察しながら、改めてお聞きすることにします。質問のなかで、TMOということに触れさせていただきました。このTMOというものも、プロフェッショナルの不在、役員の非常勤による責任体制の不在、人材や組織運営の不備などを理由に、全国で失敗した例が多いものでした。こうした前例を調査研究をしながら、実施主体および運営体制について検討していただきたいと思います。最後に市外に向け稼ぐことを担当する部局の設置についてですが、マーケティング担当部署の設置と同じく、「市全体の政策の展開の中で、組織の在り方も含め、必要な体制整備について研究してまいりたい」とのこと理解しました。稼ぐという営みは生き物です。常にさきがけていく必要があり、そのための万全な庁内体制が必要です。先日、行政調査にお伺いした南砺市では、「ブランド戦略部」のなかに「交流観光まちづくり課」があり、そのなかに「ブランドプロモーション係」と「交流観光係」があり、まさにさきがけて戦略的な取り組みを行なっておりました。全国を見渡せば、こうした事例もさらにあると思いますので、積極的な調査研究を進めていただきたいと思います。

以上、要望と2回目の質問でした。


三好昇市長
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堀議員の再質問にお答え申し上げます。私からは、マーケティング戦略に関連して、2件お答えしたいと思います。

まず、目的別にターゲットを設定すべきということでございますが、シティプロモートの推進に当たりましては、広く子育て世代をターゲットとしておりますが、個別の事業実施におきましては、これからの住まいを考えている方向けに子育て・教育環境や住宅地などの情報を、観光や食事に訪れるファミリー層向けにレジャーや飲食店などの情報を発信しておりまして、対象者やニーズに応じ、江別市のさまざまな特徴について、そのときどきで必要と思われる情報発信に努めてきております。今後におきましても、さらに工夫をしながら、そのときどきで必要な最善の情報提供に努めてまいりたいと考えております。

次に、市として体系的な戦略に基づくシティプロモートが必要ではないかということでございますが、未来戦略の一つでありますシティプロモートでは、ニーズに合わせた効果的な情報戦略を確立しまして、市民や企業などと一体的に江別市の魅力を発信していくこととしており、さらに、具体的には子育て世代を主なターゲットとして推進しているところであります。このような方向のもと、行政から計画を示すというよりも、江別シティプロモート推進協議会が市民の共感を醸成しながら江別市の持つ魅力が市内外に広がっていく中で都市イメージが構築されていくことを目指すとしておりますことから、今後におきましても、江別シティプロモート推進協議会の主体的な活動と連動しながら取り組んでまいりたいと考えております。

私からは以上でございます。


北川裕治企画政策部長
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私から、江別市におけるマーケティング戦略についてのうち、地域ブランド構築の現況と今後についての再質問にお答え申し上げます。

地域ブランドの構築における長期ビジョンの必要性についてでありますが、第6次江別市総合計画えべつ未来づくりビジョンは、少子高齢化・人口減少社会の中、10年後の未来を見据えて策定し、進めてきているものであります。その中の未来戦略として、えべつの魅力発信シティプロモートを推進することにより、江別市の都市イメージと認知度の向上を図り、それが地域ブランドの形成につながるものと考えております。そのような中で形づくられた地域ブランドは、20年後、30年後にも続いていくよう育てていかなければならないものと考えております。以上でございます。


後藤好人経済部長
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私から、交流人口を定住人口につなげるための戦略についての再質問にお答えいたします。

交流人口を定住人口につなげるための関係人口の拡大についてでありますが、交流人口の増加が直接、定住人口の増加につながっていることを具体的なデータで把握するのは難しいものと考えております。しかしながら、市では、子育て世代をターゲットに、子育て支援、教育の充実、就労支援、住宅取得支援など当市の優位性をPRし、定住人口の増加に努めているところであります。なお、議員御提案の移住体験、シェアハウス事業などさまざまな手法につきましては、人口規模、地理的条件、産業構造、交通事情など当市に類似している自治体の事例を調査し、まずは、その事業効果を検証してまいりたいと考えております。以上であります。


堀直人
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ご答弁ありがとうございました。最後、要望で終わらせていただきます。

まず、江別市におけるマーケティング戦略についてですが、個別具体的なターゲットに関しては、事業実施においてなされているとのことでした。さらにノウハウを蓄積していくなかで、具体的なターゲット設定が場当たり的になったり、事業が決まってからターゲットを決めるということがないよう、ターゲット設定の手法確立や精度を高めつつ、工夫しながらさらなる効果的なシティプロモートに取り組んでいただきたいと思います。今後のシティプロモートの進め方についても、市民の共感重視か/行政の戦略重視かの二者択一ではなく、特性や目的に合わせてシティプロモートの実施手法を分解し、整理したほうが最適化できるため、取り組みが深まり有効性が確認されたものに関しては、スピード感、規模感を持って展開していただきたいと思います。地域ブランド構築に関しては、長期的視野の必要性について共通認識が形成されつつあるように感じておりますので、今後の取り組みに期待させていただきたいと思います。こうした地域ブランド構築の取り組みから、市民の誇り、つまり住民のシビックプライド、市職員のスタッフプライドを育んでいただき、ぜひ、自信を持って子どもたちに誇れる江別のアイデンティティを形成していただきたいと思います。

次に、江別市の観光行政についてですが、市の交流人口と定住人口の拡大に向けた取り組み、把握させていただきました。それらが、効果的かつ相乗効果をもらすように仕掛けるには、関係人口という接着剤が必要であると日々、地域のなかに身を置きながら実感しております。関係人口を拡大させる施策として挙げたゲストハウス事業やシェアハウス事業においても、市が直接的に実施するのではなく、支援策や促進策を講じ民間活力によって展開していくこともできます。移住体験ツアーについても、ふるさと納税の返礼品にしたり、クラウドファンディングを活用したりなど、さまざま工夫する余地の大きい領域です。観光は分野横断。観光の集客力によって農業・商業・工業の振興と定住人口の拡大を推進し、観光の波及効果で地域の経済と文化の活性化を果たし、生産/分配/再生産という好循環をつくる回路に役立つ観光、しっかりと税収につながる観光、つまりは、市民の生活の質を向上させるための観光行政を構築していただきたいと思います。

以上をもって、わたしからの一般質問を終えさせていただきます。ありがとうございました。
 

※この全文は、音声等をもとに起こしたものです。